電位(ORP)とは
これまで、私たち人間を含め生物の感覚に影響を与える指標として常識と考えられていたファクターには、温度と湿度の2つがあります。これに加え、新たに第三のファクターとして発見されたのが、電位(ORP)です。
たとえば、森の中の滝つぼと都心の高層ビル群の中にいるときとでは、同じ温度・湿度であっても感じ方が異なります。これに影響しているのがORPであると考えられています。
ORPは、酸化と還元が起こる際に電子の移動が生じた電位のことで、酸化力と還元力の指標となるものです。
河川や地下水等のORP値は水の汚れと相関しているといわれ、ORP値が高ければ比例して水が汚染されているということになります。空気中においても同様であり、存在する水のORP値が高ければ空気が汚れていると考えられます。
この空気中の水の汚染度を、温度や湿度と同様に(エアコンや加湿器・除湿器のように)コントロールすることで、私たち人間やそのほかの動物、植物などが過ごしやすい空間をつくりだすことが可能になります。
そもそも人間をはじめ植物や微生物など、電位は生き物すべてが持っているものであり、これを生体電位といいます。
現在、生体電位は、医療診断や健康管理、介護ケアなど様々な場面で用いられています。
また、植物の生体電位を利用し、栽培環境の最適化を図る研究も進んでいます。
ORP測定・制御装置とは
ORP測定・制御装置は、室内のORP値を連続で測定するとともに、様々な場面に応じてORP値をコントロールすることを可能にします。
これにより、温度や湿度の制御よりもはるかに省エネに、人間が過ごしやすい快適な室内空間を確保したり、植物の成長を促進したり、微生物の繁殖を防止したりすることができるようになります。
※PCT国際出願中
導入のメリット
- 人間の肌電位環境を整えることで、酸化(老化)軽減や健康維持につながる
- 植物の適正電位環境を整えることで、温室野菜・果物の出荷調整が可能になる
- 微生物の電位環境をコントロールすることで、細菌・ウィルスの増殖抑制が可能になり、感染予防や食品の鮮度保持につながる
環境への貢献
当装置の導入は、環境問題の解決にも貢献します。
- フードロスの低減
- 室内エアコンや宅配のクール便などに代わることによる大幅な省エネ、CO2の削減
- 感染症の蔓延抑止
関連論文
温度・湿度に加わる第三の体感ファクター“ORP”の発見をまとめた論文(当社最高技術責任者 徳田美幸氏 執筆)は、2022年5月にイギリスの国際ジャーナルに掲載されました。
- タイトル:Suitability of air moisture oxidation–reduction potential as an indicator of atmospheric pollution
- 邦題:空気中の汚染度の測定主旨と方法
- 掲載媒体:Science of the Total Environment, Volume 839, 15 September 2022, 156137
当論文は、大気汚染の指標として、空気中の酸化還元電位(ORP)の測定を検討することを第一の目的としており、その可能性を明らかにしています。同時に、空気中に存在する水分の電位(空中電位)が、人間の身体感覚や植物の生命力、微生物の増殖に影響を及ぼすことを示唆しています。
電位とは人間をはじめ全ての生き物が持っている物質であり、それぞれの値に合わせて空中電位を調整することにより、生物の感覚に働きかけることが可能になるのです。
これまで生物の感覚に影響を与える指標として常識と考えられていた温度と湿度。当論文では、これに加わる第三のファクターとして電位を発見したことが議論されています。